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おまけ:愛玩動物看護師試験合格体験?インタビュー

院長 富永 文雄

インタビュー時期:2025年2月

Q. 佐久間さんが愛玩動物看護師試験を受験したいと聞いたとき、どのように感じましたか?

(インタビュアー:以下イ)佐久間さんが愛玩動物看護師試験を受験したいと聞いたとき、どのように感じましたか?

(院長:以下院)まずはご本人のキャリアアップのためになると思い、素直に、大いに応援したいと思いました。
当院ではすでに動物看護ケアスタッフとして素晴しいお仕事ぶりでしたので、今後たとえ愛玩動物看護師資格を所有した後輩が入社しても、当院での彼女への待遇に変化はないと思っていました。しかし愛玩動物看護師資格を取得したあかつきには、将来にわたり当院にもさらなる良いフィードバックをいただけるのではと期待する部分もありました。

 日々の多忙な業務をこなしながら、さらに国家試験合格に向けた勉強をしていかなければならないので、それがご本人への過度な身体的・心理的負担にならないように・・・敢えてご本人には伝えていませんでしたが「チャンスは1度」で、2度目の受験はないものと考え、1度目の受験で無事合格できるよう、最大限の配慮をしなければならないとも思いました。

Q. 佐久間さんが愛玩動物看護師試験を受験するにあたり、どのように支えていこうと考えましたか?

(イ) 佐久間さんが愛玩動物看護師試験を受験するにあたり、どのように支えようと考えましたか?

(院)佐久間さんが学生だった当初は、まだほんの数年前ですが愛玩動物看護師という存在は法的にも曖昧な部分が依然多く残っていた頃と記憶しており、当然ながら彼女が在学していた専門学校でも愛玩動物看護師養成・国家試験合格についてカリキュラム等の配慮はされていなかったという現状がありました。
さらに専門学校卒業後3年が経過しておりましたので、佐久間さんが愛玩動物看護師試験に合格するにあたっては、いわゆる「座学」にあたる部分をイチから勉強することになるだろうと考えました。ひと言で言って「大変なことだ」と(笑)。

そこで、
1.現役の学生と違い、動物看護ケアスタッフとしての日々の業務をする中では、当然のことながら試験勉強の時間は大幅に限られてしまいますが、逆に日々の業務から学べることがたくさんあることをポジティブに捉えてもらえるように配慮していました。具体的には、尿路結石の結晶や寄生虫卵を顕微鏡で実際に覗いて形状を覚えたり、それをもとにどうしてこの尿路結石の結晶が出来るのか、どのような感染経路でこの寄生虫に感染してしまうのか、治療はどうしたら良いのか、あとは日常処方している薬の投与量の計算方法などを一緒に計算してみたり・・・などです。試験勉強のためというのはもちろん、彼女が愛玩動物看護師になれた後にも繋がる知識だと私が感じたことは、彼女や他の動物看護ケアスタッフに意識的に声をかけ、参加してもらいその時に理論を教えたり、一緒に考えたりしてもらうようにしていました。

2.社会人の試験勉強はとかく孤独になりやすく、そうなると勉強が辛くなってしまうと考え、「一人で勉強させない」ように配慮していました。「伴奏者」として一緒に勉強しようという意識を持つために、愛玩動物看護師試験の問題集を早い段階で購入し、診療業務の合間ではありましたが、時間の許す限り彼女と一緒に問題集を開いて一緒に考え、一緒に問題を解いて・・・ということをしていました。「お忙しい中すみません、お時間いただきたいのですが」と、彼女の方からよく声をかけてもらいました。私を頼りたい時には遠慮なく頼って欲しいというこちらの想いが彼女に伝わっている気がして、それが正直とても嬉しかったです・・・彼女の「やる気」にはこちらも大いに励まされました。国家試験ですから中には結構難しい問題もあって(笑)、色々と調べたりしながら答えをさがす作業も必要な時がありましたが、そういうところも含めて、彼女には、私なりの「学ぶこと」へ姿勢を見て、感じてくれる部分があったら良いなと思っていました。

Q. 愛玩動物看護師の受験者が日々のお仕事をしながら勉強をするにあたって、院長として大変だと感じたことはありましたか?

(イ)愛玩動物看護師の受験者が日々のお仕事をしながら勉強をするにあたって、院長として大変だと感じたことはありましたか?

(院)佐久間さんは非常に真面目で明るく、当院にとっても私にとっても、本当にありがたく欠かせない存在です。
日々の業務に全く支障を来さずに大変な試験勉強をやりきるような、大変な努力家でもあります。
そういう意味では、私にとって大変だと感じることはほとんどありませんでした。
ただこれは佐久間さんだからこそ成し遂げられたことであって、他の方なら出来なかったかもしれないことだと思いますので(笑)、私は大変ラッキーだったと思います。
・・・あえて言うならば、佐久間さんは少なくとも仕事面では「全く弱音を吐かず、自分のことは後回しにするタイプ」でもあるようなので、そのことはこれまで一緒に仕事をしていて良くわかっているつもりなだけに、彼女に何か辛いことがあっても私を含め周囲に言ってこないのではないかと、そういう意味で心配することはありました。
うっとうしく感じられない程度に、というのは冗談ですが(笑)、声かけをしたり一緒に話をしたりして、コミュニケーションをとっていたつもりですが・・・やっぱりうっとうしく感じることはあったかもしれません(笑)・・・あ、でもこれは私が大変なのではなく佐久間さんが大変だったってことですかね(大笑)。

Q. 試験当日はどのような心境でしたか?

(院)出来ることは出来る限りやったので、きっと大丈夫だろうと、特に心配はしていませんでした(笑)。
感染症など、体調を崩さなければ良いと思っていました。

Q. 試験当日~合格発表までの心境を聞かせてください。

(院)ご本人は試験で「出来た」という実感があまりなかったようなのですが、結果がどうあれ、当院でお仕事をしていただける限りにおいては彼女に不利になるような待遇は全く考えていないので、正直言って、合否についてはあまり気にしていませんでした(笑)。
ただここまで頑張ったのだから、良い形で報われて欲しいとは思っていました。

Q. 佐久間さんが愛玩動物看護師試験に合格した時の心境を聞かせてください。

(院)率直に言って、とても嬉しかったです!
当初の個人的な思いである「チャンスは1度」を無事にクリアしてくれて、このことではもうこれ以上彼女が大変な思いをしなくて済むことに、心から安心しました。

Q. 愛玩動物看護師の資格を取得してから、変わったことがあったら教えてください。

(院)愛玩動物看護師となると、それまで出来なかった皮下注射や採血、マイクロチップの処置などが出来るようになるので、そういうことにもチャレンジしていきたいかご本人の意向を聞いたところ、チャレンジしていきたいとの希望でした。
愛玩動物看護師になって出来ることも増えた一方、負担も増えないかと心配があることも確かですが、佐久間さんご本人の元々の能力が高いので、うまくやっているようです。

Q. 注射や採血などを実際にしてもらう上で気を付けていることはありますか?

(院)相手は生身の動物であり、苦痛を与えることはあってはならないと考えています。
愛玩動物看護師はもとより、私たち獣医師も、動物相手に「練習」は出来ませんし、当院では一切それは認めておりません。言ってみれば常に「本番」です。当院の愛玩動物看護師には、その「本番」に備えるべく、注射や採血であれば注射器の持ち方から、必要な技術や私の持っている「コツ」の全てを惜しまず、前もって可能な限り教えるようにしています。「失敗」は動物たちに不要な苦痛を与えることとなるので、そうならないように動物看護師が落ち着いて処置できる環境を作り、入念に準備させ、採血など処置が難しいと判断したらひとまず無理せず私に声を掛け、私の判断に委ねさせるよう配慮しています。
・・・と言いながら、佐久間さんはもともと注射や採血も教えた通りかそれ以上にやってくれて、とても上手なので、あまり配慮はいらない方ですが(笑)。

Q.愛玩動物看護師と一緒に診療をする立場としてメッセージを!

(院)このたび、愛玩動物看護師試験受験者応援企画として、当院の2名の愛玩動物看護師に経験談のインタビューを致しました。そのインタビュー後に、私と一緒に経営をお願いしている妻が、当院の愛玩動物看護師たちに伝えた言葉を借りたいと思います。

 「現在愛玩動物看護師の資格取得をした方の中には、まあとりあえず勉強しなきゃいけないから、勉強だけやりました、と・・・で、もしかしたら動物病院に勤めていない人もいるかもしれないし、動物病院に勤めているけど、あまり資格を重んじないでせっかくの資格と技能を生かせないところもあるかもしれません。動物病院によってはもっともっと先輩がいっぱいで自分に「順番」が回ってこないかもしれないし、愛玩動物看護師として「芽」が出ないで終わっちゃう人もいるかもしれない。
 当院では、スタッフの一人というよりは、一人の「人」として患者さんと接してねって。そこに私はこういう資格をしっかり持って、知識も蓄えて、技術的にも今養ってて。それで、そういう人がいてくれる動物病院・・・受付から、現場から、会計から・・・そういうところって、やっぱり患者様は何かを感じると思います。
私だったらやっぱりここに通いたいなって飼主様が思うような愛玩動物看護師になって欲しい。」

・・・獣医師だけでは、良い動物医療を施すことは出来ません。
愛玩動物看護師という資格が出来、動物に対して出来ることも確かに増えましたが、それと同じぐらい大切なのはやっぱり「人の心」だと思います。

 自分の持っている知識や技能が誰のためのものなのか、常に考えて日々の診療に生かしてもらえたら嬉しいです。